論文を多数書いて博士の学位を取得
下記の前回の記事で、アイデアの実証と、成果発表の経験について書きました。今回は、最後のプロセスとして、大学の教員のポストを得た時のチャレンジのプロセスについて書かせて頂きます。
初めての国際会議での発表を終えて、ようやく、研究者としての小さな第一歩を踏み出すことが出来たような実感を持つことができました。いわゆる「0を1にする」経験が出来たような実感を持つことができました。
しかしながら、それだけでは、博士の学位を取ることや、その先にある大学教員になるという目標を達成することは出来ません。そこから、毎日の業務終了後に明け方まで研究・論文執筆を続け、土日は、朝起きてから、食事や入浴の時間以外は、ひたすら研究・論文執筆に明け暮れていました。
特に、私の場合、他の人とは違い、初めからこの世界を目標としていた訳ではないので年齢的にもスタートが遅く、大学の学部で専門分野の勉強をした訳でもなく、更には、修士課程の学位を取った訳でもないので、普通に考えると、大学教員になるという可能性が非常に小さいという客観的な判断があり、研究で目立たたない限りは、書類選考さえ突破できないという強い危機感がありました。
誰しも、人生の勝負所では、このような経験をすることがあると思います。
そういった自分の立ち位置をよく理解していたため、研究・論文執筆には、自分のすべてを賭けて全精力を注ぎ込みました。おそらく、今後の人生で、あれ以上の頑張りは出来ないと思える程に、肉体的にも精神的にも限界を遥かに超えた努力を続けました。
「自分の立ち位置が良くない」ことを認識するのは、精神的にはつらいことで、マイナスイメージを喚起するよくないことだと思われると思います。しかしながら、目標を達成する上では、「目標までの距離」を明確に知ることにつながるので、実は、非常に良いことです。
これは、転職の時だけでなく、新卒学生の就活の際にも同じことが言えます。学歴・部活動等の学業以外の活動実績などは各個人で異なるので、同じ立ち位置ではありません。
各自、自らの立ち位置を明確に認識し、目標とする会社に入社するために足りない要素を考えて、そのギャップを埋める努力を早い段階からしていくことで、目標とする会社からの内定に近づいていきます。
立ち位置が分からないと目標との差が分からないので、その結果、必要な努力をすることが出来なくなり、良い結果が出ません。結果が出ないことほどつらいことはないですよね。
未経験のことに挑戦する時に重要な考え方
経験のことに挑戦する時に重要なことは、「努力する期限を設定する」ということです。
最初から長期的な展望に立って考えると、大変だと感じますので、1日の努力量・活動量が少なくなります。例えば、最初の1年目は、「1年で良い方向にいっているという兆候が出てこなければやめる」、2年目は、「目に見えた成果を出せなればやめる」という形で、「努力する期限」と「やめる条件」を設定し、その条件を期限の前にクリアできるように、いわば、「先行逃げ切り」の感覚で、出来ることをすべてその日にやりきる形で活動をしていくことが重要です。
人間は弱いものなので、初めから長期的に考えると、「今日は、この程度で十分だ。」という思考になりやすいです。1日の活動量が多いと、「この努力を無期限に続けなければならない」と考えてしまい、「とても無理だ。」と感じて心が折れてしまうでしょう。しかし、例えば、1年間限定と思えれば、何とか出来ると思います。1年でも長いと感じるようでしたら、3カ月限定とすれば、何とかなるでしょう。
この3カ月というのは、実は、非常に大きな意味を持ちます。人間を構成する細胞は、3カ月程度ですべて新しい細胞に入れ替わるという科学的なデータがあるので、3カ月頑張れれば、本当に「新しい人間に生まれかわっている」のです。
そうして、設定した期間、「自分史上最高の努力」を継続できれば、設定した期間が過ぎた時点で振り返ってみると、大きく成長した自分がそこにいることに気づくでしょう。そして、その事実が、次の期間のチャレンジへのモチベーションとなり、新たな活動エネルギーが沸き上がってきます。
また、これらの過程で、小さな成果が出てきますので、それが、自分に小さな自信を与えてくれるでしょう。小さな自信が積み重なれば、大きな自信となってきます。
このようなサイクルを自分自身で意図的に作り出す、つまり、科学的な考え方・アプローチをとっていくことで、短い期間で、考え方も行動の仕方も全く違う別人になることが出来ます。
言うまでもなく、いわゆる「やる気」が重要であることは間違いないですが、それに科学的なアプローチの考え方を入れることで、成長を後押してくれるので、成長の速度・度合が何倍にも膨れ上がるようになります。
数年間のチャレンジに後にくる継続的・安定的な成長の期間
例えば、1~2年程度の最初の短い間で劇的な成長を遂げて一定の成果を上げた後には、同じような考え方・行動の仕方を継続することが出来なくなる時期が来ると思います。人間ですので、肉体的・精神的にも本当の限界がやってきます。
私自身の場合は、3年目に差しかかった頃に、それが訪れました。精神的には、まだまだ同じように頑張れると思っていましたが、ある時、「このまま頑張り続ければ、体を壊して過労死するかも・・・。」と、フッと感じました。その為、この辺が潮時かもしれないなと思い、活動の仕方を根本から変えることにしました。
そこまでは、短期間での成果を最重要視し、成長速度を限界まで速める考え方でいましたが、ある程度の成果が出ていたこともあり、1日の活動時間に上限を設けて、その時間の質を上げる方向にシフトしました。
成果と能力は比例するので、ある程度の成果が出ていれば、それに見合った能力もついていると思います。そのような考え方から、上限を設けて活動の時間を減らし、その分、考え方・活動の質をあげることで、同程度の成果を出しながらも、肉体的・精神的な負荷を減らす方向へ大きくシフトしました。
それから、10年以上が過ぎ、その大きな方針のまま、今でも活動しています。成果も、毎年、安定的に継続的出すことが出来ており、多くの実績を残すことが出来ています。
短期的な劇的な変化の後の安定的な成長の段階を経て、今では、次の10年で達成したいことも新しく出てきました。その最初のステップが、このブログの開始です。
もちろん、今の仕事は、楽しみながらこれまでと同程度以上の成果を出しながら継続していきたいと思いますが、このブログでも書いた自分の天職としての活動範囲を広げていく時期にさしかかっていると自分では思っています。
以前のように劇的な成長を遂げることで達成するというのではなく、これまでの人生の中での全ての経験や知識などを結集し、「ゆるやかな総力戦」での挑戦となります。
例えば、会社を起業する場合には、年齢が高い程成功の確率が上がると言われておりますが、世の中の仕組みが見えるようになり、落とし穴を避けることが出来るようになってくるので、必然的に成功する確率があがるのだと思います。
私も、この先の10年は、そのような考え方で、緩やかだけれども、物事の進展速度は非常に速い10年になるのではないかと感じています。
この次の大きな挑戦については、また、現実に形になりはじめた時期になりましたら、このブログにも少しずつ書いて行きたいと思います。
この挑戦は、自分の寿命が来るまでの長い道のりの挑戦になるような予感があります。ここまでの人生の経験は、そのためにあったのではないかという予感があります。
関連記事