「 昨日の記事で、「世の中からの需要」を満たすことも、長期的キャリアを考えるのに重要なことの1つだというお話を書きました。その長期的なキャリアを考える時に、前提条件として、現在の「世の中」の仕組み・構造を正確に認識しておくはとても大切なことです。何故なら、時代毎に世の中の仕組みが変わり、それに応じて必要とされる職種が変わってくるからです。
現在の世の中は、第4次産業革命の時代と言われます。人によっては難しい話かもしれませんが、下記の図のように、人工知能(AI)やIoT、ビックデータなどのIT技術を駆使して、世の中のありとあらゆるデータを集めて解析し、新しいサービスを生み出していくような仕組みが世の中全体に広がり、金融業・製造・サービス業など、ありとあらゆる産業の仕組みが大きく変わる時代となっています。現在は、丁度、その初期段階の創成期であり、変化が始まったばかりの時期にあります。
このような形の枠組としての大きな情報システムの仕組みの中に、各産業・各会社が取り込まれるような形となるため、この情報システムなしには、事業が成り立たなくなってきています。初期の単純な情報システムが登場する以前は、情報システムがあまり普及しておらずに、会社で働く人は、電話やFAXを使って連絡する、あるいは、人が作成した書類をやり取りするなどして、情報システムに依存せずに仕事をすることができました。そのような時代には、人が行わなければならない細かな仕事が沢山あり、沢山の人がその仕事に就いていました。その代表的な仕事の一つが、書類仕事を中心とする事務職の仕事です。
しかしながら、情報システムが普及し、会社の事務仕事が効率化されると、事務職として必要な人数が大幅に減ってしまい、非常に少ない人数で済むようになってしまいました。その流れが、AIやIoTなどの情報技術の進展により、更に加速し、場合よっては、事務職自体がなくなってしまうとも言われています。
このような形で、世の中のありとあらゆる部分が効率化されてきますと、例えば、工場で使用される産業用ロボットによる部品加工の仕事の中の自動化できる単純な作業は、すべてロボットに取って変わられてしまうことになります。人の役割としては、新しい付加価値を生み出すような、例えば、部品の設計やロボットにインストールするプログラムの作成などの業務などに、特化されることになっていくと思われます。
つまり、現在仕事についている社会人の人も、この4月で会社に就職する人も、今の職種がそのまま未来永劫残るということは考えにくく、どの職種においても、お客様に提供する商品やサービスについて、常に新しい付加価値を作り出すことが、仕事の中心となってくると考えられます。例えば、事務職の人も、社内の人に事務サービスを提供する立場と考えられるので、お客様となる会社内の人に喜んでもらえるサービス・仕事を自ら提案して行っていくようなことが、この先5~10年くらいは、必要になってくると思います。
その先については、AIが深く浸透している社会になっている可能性が高いと思いますので、文系職種の人に関しては、AIやビックデータなどを利用・活用する立場の職種が出てくると思います。その活用スキルを磨いていくことが長期戦略の柱になってくると思います。
その職種の実現例の一つとして、データサイエンティストという職種があります。この職種は、いわゆる大量のデータであるビックデータを分析し、その解析結果を、新しいサービスの創出に結び付けたり、企業の事業運営に活かす提案などを行う新しい職種です。
それ以外に、文系職種の人が就くかもしれない職種に関するヒントになりそうな書籍として、次のような書籍がありますので、また、私も読んで研究していきたいと思っています。
理系分野の人は、先程説明した世の中の仕組みの中心となる大きな情報システムを作り、あらゆる産業の構造を変えていく側なので、広い意味での需要は常にあると思いますので、その意味では心配はあまりないです。しかしながら、技術の分野は、その技術の価値が陳腐化するスピードが速いので、常に新しい技術を習得する勉強が必要となり、時代の半歩、もしくは、一歩先を歩けるようにしていう必要があります。その点は、現在とあまり変わりありません。
最終的にまとめますと、世の中の動向を見ながら、先々の需要が多い分野の中で、自分の得意なことを活かしていく仕事内容を考えて、会社に提案して自分のポジションを得ていくか、もしくは、フリーランスや起業するなどして、自分で世の中に働きかけていくことが最終的な戦略になるかもしれません。
いずれにしましても、会社から言われるままに仕事をするだけでは、自分に付加価値を付けることができない可能性が高いので、自分の手で自分のキャリアを良い方向に導いていくことは非常に重要となります。
今の日本では、副業推進の流れが広がってきておりますが、それは、個々の人が会社から与えられた仕事をするだけではなく、個人として、世の中に働きかけていくチャンスでもあると思います。
長期的なキャリアを考えることは、自分の人生について深く考える機会にもなりますので、皆さんも、忙しい毎日の中で、少し時間を取って考えられては如何でしょうか。(笑)