大学教員が書いた就活・転職活動のお守り

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就活=転活=自分を売り込むこと

今回の記事のテーマは、「就活=転活=自分を売り込むこと」です。

 この記事を書いた理由は、先入観にとらわれずに、就活・転職活動を進めることが重要であるということを、お伝えしたかったからです。

 

過去の実績と将来のビジョンを伝えることが就活・転活の本質

就活も転職活動も、本質的には、個人の「過去の実績」を企業側に知ってもらい、「個人の将来のビジョン」や「仕事の中で実現したいこと」が、会社の方向性と合っているということを伝えて理解してもらうことにより、「会社に大きく貢献できる人である」と思ってもらうことが出来れば、採用になるということです。その貢献でききそうな度合いが大きくなればなる程、その人の評価が高くなります。

 

過去の実績は、その人の「現時点での能力」を表しており、「個人の将来のビジョン」や「仕事の中で実現したいこと」は、その人自身の「将来に対するモティベーション・エネルギー」が表れたものと考えられます。現時点で能力が高い、あるいは、お願いしたい仕事を行えるだけの基礎能力があると判断できる人が、将来に対するモティベーションを高く持っていれば、高い成果を出してくれるのではないかと思えますよね。

過去の実績は、その人の現時点の能力 

新卒学生の人の場合は、基本的には仕事の実績がないので、高校から大学生の間の勉強や部活動・サークル活動、習い事、アルバイト経験、ボランティア活動などの活動の実績が、「過去の実績」となります。例えば、リーダー的な立場で物事を進めた経験、困難な状況を乗り越えた経験、勉強に打ち込みトップクラスの成績を取り続けた経験、部活動などに長期間継続して取り組んだ経験などが考えられます。

 過去の実績が問われるのは、過去に頑張って取り組んだ経験がある場合には、いわゆる「一度スイッチが入った状態」を経験しており、入社後も、同じように頑張ってくれるのではないかという期待が持てるからです。会社としては、自律的に物事を考えて試行錯誤しながらも成果を出していける人を、のどから手が出るほど欲しがっているので、入社後もそうなってくれるのではないかと期待できるからです。

 社会人の場合は、基本的には、過去の仕事の実績が評価対象となります。その際、仕事の分野と、その仕事の詳細な中身(例:大きく売り上げを上げた経験、大きな問題を収束させた経験、プロジェクトを成功させた経験など)が問われることになります。

 社会人の場合は、期待でなく、入社後に確率高く出来そうな人が評価されて採用になっていきます。その確率を読み取れる部分が、過去の仕事の実績になります。仕事の実績があれば、仕事を行うことができる能力が身についているという判断の仕方です。逆にいうと、募集がかかっているポジションに関係する仕事の実績がない場合は、書類選考の段階で落選する、あるいは、採用になる場合でも、1~2年で戦力になればよいという形のポテンシャル採用(潜在能力に期待する採用)となるために、給与等の待遇条件が低いものとなる可能性が高いです。

 ビジョンや実現したいことは、将来へのエネルギー

 次に、「個人の将来のビジョン」や「仕事の中で実現したいこと」に関する点ですが、その人自身の将来に対する希望や意欲などが反映されたものになると思いますので、これから先も、成長し続けて、会社に貢献し続けてくれる可能性をその中に読み取ることができます。

 新卒学生の場合は、仕事上のビジョンを描くのは難しいかもしれないので、その場合は、例えば、「英語と中国語を話せる国際的に活躍できるシステムエンジニアになる」というような形で、自分が目指す人の像を描いて示すことでもよいと思います。

 社会人の場合は、転職になるので、基本的には即戦力です。転職先の仕事内容も明確になっていると思いますので、その仕事の中で、どのような成果を上げることを目標として、どのようなやり方で仕事を進めるのかを、明確に具体的に話せる必要があります。そして、その仕事を担当することが、将来の自分のビジョンを実現する上で、どのような位置づけとなっているのか、つまり、非常に重要な意味を持っていることを明確に話すことが出来ると更に良いと思います。

 例えば、私個人のことで恐縮ですが、私の天職は、「他の人の適性や才能を発掘し、そのベクトルを良い方向に向けること」であると感じております。ここで言う「天職」の意味は、その仕事をしていると深い充足感を得ることが出来るので、金銭的な報酬がなくても、自然と頑張ってしまう仕事です。現在は、大学の教員として、その天職としての活動を、日々の教育活動の中に反映させる形で行っています。具体的には、大学の授業などの直接的な教育の中ではなく、日々、様々な機会で、学生の皆さんと接する中で、良くなって欲しいという想いを込めて行うアドバイスの形でその仕事を行っています。就職の事前準備・就職活動の本番の中で、アドバイスしていく形にしていますので、学生の皆さんも良く聞いてくれます。(笑) そして、今後は、このサイト運営により、直接接する目の前の学生の皆さんだけでなく、より多くの人たちに向けた形に範囲を広げていきたいというビジョンを持っています。このサイト運営が、私の将来のビジョンを実現するのに、非常に重要な意味を持つので、これから頑張っていきます。

 私の場合の例は、会社などの組織に向けた提案として説明する訳ではないですが、このように、自分のビジョンをストーリーとして話すことが出来れば、話す相手にも本気度も伝わると思いますし、話を聞いてみようと思って頂けるのではないでしょうか。

 20~30歳前半ぐらいまでの若手社会人の間は、個人のビジョンもぼんやりとしたものかもしれませんが、何も感じないという人はいないと思います。その想いは、大切にして頂きたいです。

 ビジョンを考える時にしてはいけないこと

ビジョンについて考えるときに、やってはいけないことの1つとして、「ビジョンの実現性を考慮する」ことがあります。ビジョンは、将来のことなので、実現するかどうかは、誰にもわかりません。そのようなことを考えるのに、「どのくらい実現の可能性があるのか?」と考えてしまうと、「実現できない!」となってしまいがちなので、考えない方がよいです。実現可能性、あるいは、実現する方法などは、時間を置いて、別の時に考えた方がよいです。

 これは、テクニックの話ですが、会社の会議などで、新しい提案をしている場面で、将来の話をしている時に、実現性の話を持ち出されて、提案が却下されてしまう経験を、社会人の人であれば、誰もが持っていると思います。これは、この点を明確に意識していないので、反射的に実現性の話をしてしまっている訳です。

 会社の仕事は、実現して利益を回収して初めて意味が出てくるので、その気持ちも分からないでもないですが、新しい提案の中にしか、将来の新しい事業の芽が出てこないので、それをつぶさないように、将来の話と実現性の話は、時間を分けて話すことが大切です。

 個人レベルでも、このような意識を明確に持って、将来のビジョンを考える時は、妄想と言えるような形でも良いで、出来るだけ広がりを持ったビジョンを考えていく必要があります。また、その実現性を考える時には、それだけに集中し、それを実現する方法を沢山考えていくことが大切です。

 個人のビジョンは、いわば、「個人の将来に対する希望や想い」なので、これがない人は、意欲がない人、あるいは、少ない人と見なされる可能性があるので、就活・転職活動の前に、具体的な言葉として明確化しておいた方が良いです。

 会社のビジョンの中に、個人のビジョンがあるとよい

そして、最後に、会社のビジョンについてです。まず、会社のビジョンが明確に表現されていない会社は、伸びていく可能性が小さそうですので、そこで働くことは、あまりお勧めはしません。その会社のビジョンが明確にあるという前提で、「会社のビジョンと個人のビジョンが共存することが出来る」、更にいえば、「個人のビジョンを実現するための活動が会社のビジョンを実現することにつながっている。」ようであれば、俄然やる気が出てきますので、会社側としても高く評価してくれる可能性があると思います。

 プレジデントのようなビジネス系の雑誌の中では、経営者や目立った成果を上げた方々のインタビューの様子が紹介された記事が沢山あります。そのような記事の中で、採用試験の面接の際に、例えば、「入社3年で独立して会社を作りたいので、勉強させてください。」という趣旨のことを言った人が、高い評価を得て採用になったというような記事をよく見ますが、それは、先ほどの個人のビジョンと会社のビジョンが、その3年間においては一致しているので、高い評価につながり、採用という結果になっている良い例だと思います。仮に、3年後に本当に独立してしまっても、その3年間で会社にもたらしてくれるものが大きいと考えての採用だと考えられます。