大学教員が書いた就活・転職活動のお守り

就活ではトヨタ系企業をはじめとする一流企業への就職、転職ではサードドアを開けて新しいキャリアを開くことを目指して頂くサイトです。

経験者が語る新卒採用が大幅に減った場合の5つの選択肢

コロナショックの就活はバブル崩壊時と同じか?

 私自身は、いわゆる就職氷河期世代で、1990年以降に起こったバブル崩壊直後の銀行の莫大な不良債権がニュースを賑わせた世の中の雰囲気が真っ暗だった時期に新卒学生として、就職しました。本記事は、その当時の状況を思い出しながら、書きます。

 詳細な点までは記憶していませんが、いわゆる偏差値の高い大学の学生でも、就職が全く決まらずに、100社受けても内定が0ということが特に珍しくない状況だったと思います。

 現在のコロナショックは、そのバブル崩壊後に訪れた就職氷河期と同じような状況になる可能性もありますが、それは、これからの推移を見ていく必要があります。

headlines.yahoo.co.jp

 本年度までの就職状況は、一般的にもよく、私のゼミの就職状況は非常に良く、年毎に右肩あがりの状況でした。2020年度も、東京オリンピックまでは、何とかその状況が維持されるとは思っていましたが、コロナショックで経済状況の悪化が前倒しになり、予想できない状況になってしまいました。

 しかしながら、現在は、新卒社会人の人数自体が減っており、その意味では、当時程の状況にはならない可能性もあります。下記のページに、総務省統計局という所の統計資料として、「新成人人口の日本の総人口に占める割合」に関する表 (表3) があります。

www.stat.go.jp

この表を見ますと、1990年以降のバブル崩壊期における数年の間の「新成人人口の日本の総人口に占める割合」は、1.6%前後となっており、それと比べると、2020年は、60%低程度の割合となっています。

 つまり、新成人の人数は、バブル崩壊当時の60%の人数となっているので、バブル崩壊時と同じ新卒学生の募集状況になったとしても、当時よりは、採用されやすい状況にはなっているとマクロ的な視点では言えると思います。

 もちろん、その他の様々な要素が絡んでくるので一概には言えませんが、昨年度よりは、就職環境は悪化するものの、どうにもならない状況にはならないと個人的には思っています。コロナショックが長期化した場合には、どうなるかは分かりませんが・・。

 但し、就職活動の準備をきちんとした人とそうでない人の差は、昨年度までよりも広がる可能性はあると思います。

 

職活動の方針は、大手企業や将来伸びる業界を中心に!

 このような就職環境の悪化により、どのようなことが考えられるかというと、長期的視点で事業運営を考えることが出来る大企業や、将来の需要拡大が見込める一部の成長業界・企業 (IOT・AI関連・ロボット関連・工場自動化関連などの業界・企業) などは、採用数をそれ程大幅に減らさない可能性があるので、そういった業界の企業を中心に探していくと良いと思います。

 以下の記事で、これからの世の中がどのような仕組みになっていくのかを説明しておりますので、そちらを参考にして、その仕組みを作ったり、運営したりすることに貢献する仕事をする企業や職種を探したり、考えたりすると良いでしょう。  

www.shukatsu-omamori.info

  一方、目の前の生き残りに精一杯になりやすい中小規模の企業では、やはり、採用数は、ぎりぎりまでの数に減らす可能性が高いので、厳しい状況になると思われますが、トライできるところにトライしていきましょう。

 もちろん、個人的にどうしても就きたい仕事がある場合は、その可能性も捨てずに就職活動を進めていく方が良いとは思いますが、リスクヘッジも忘れずに、大手企業や長期的な成長が見込める企業へのアプローチも並行してした方が良いとは思います。

 就活は、ギャンブルではないので、効率良く、つまり、楽をして良い会社に入るという考え方は、通用しないと私は思っておりますが、特に、就職環境が悪化した時には厳禁だと思いますので、採用試験を受ける会社数は、出来るだけ多くした方が良いと思います。

 

新卒採用が大幅に減った場合の5つの選択肢とその可能性

 新卒採用が大幅に減った場合に、どのような選択肢が考えられるかというと、以下の5つ程度の選択肢が考えられます。これは、私の個人的な意見です。

 (1)大手企業・IOT・AI関連・ロボット関連・工場自動化関連など、将来的に伸びる可能性がある業界・企業を探して受ける。

(2)新卒時の就職だけではなく、将来のキャリアを考えて、自分に能力を身に着ける就職を考える。つまり、将来のキャリアアップ転職を前提として、新卒の就職を考える。

(3)正社員以外の契約社員なども想定に入れる。

(4)日本国外に目を向ける。

(5)大学院や専門学校等に進んだり、海外へ留学したりして、知識を身に着けると同時に、就職環境の改善の可能性に賭ける。

 (1)の方法は、需要と供給の関係を考えて、将来的に長期に需要の拡大が見込める成長業界・企業を中心に狙っていく方法です。現時点で、明確にやりたいことがないという場合は、この選択肢を主にして就活を行っていけばよいでしょう。上り調子の組織は、活力があり、明るい雰囲気になると思いますので、そういった所で働けるなら、それに越したことはありません。言ってみれば、職場環境を重視した選択です。

 (2)の方法は、明確なキャリアプランがある場合もそうですが、明確なキャリアプランがなくても、自分に付加価値を付けていくこと、つまり、自分の武器になる能力を身に着けることを最優先にする方法です。

 企業規模にとらわれずに、職種や仕事内容で最初の職場を決めていく方法です。私は、新卒学生の時には、この方法をとりました。当時は、社会全体の中で、「企業に頼らず自分で自分の道を開くこと」がよいことであるという風潮があったので、新卒学生であった私は、将来にことはよく分かりませんでしたので、自分の適性を考えて、理系分野のソフトウェア業界を選択しました。

 (3)の方法は、万一の場合の緊急避難的な選択肢なので積極的にはお勧めしませんが、就職浪人は、現在の状況だとマイナス点しか思いつかないので、それよりは良いという選択になります。

 (4)の方法も、全世界的に経済・金融の環境が悪化しているので、現時点では難しいです。

 (5)の方法は、挑戦してみたい気持ちが強く、専門知識をつけるという意味では、良いとは思いますが、就職環境の改善を待つという意味では、今回の場合は、良い選択には思えません。

 コロナの治療薬が出来るのに、1~2年はかかると言われていますので、根本的には、その期間は、コロナの影響が残ると思われます。

 私は、経済や金融の専門家ではありませんが、これだけ、悪化のスピードが速い場合は、企業へのダメージが深いと思われますので、そう簡単に元に戻るとは思えません。

 企業においては、緩やかな経済・金融の悪化の場合は、時間的な余裕があるので、その間に、事業の合理化を進めて、コスト削減に努める、あるいは、新規事業立ち上げて売上拡大を図るなどの企業努力を行う時間があるので、乗り越える可能性もありますが、急激な変化は、それらの企業努力を行う時間的余裕がないので、倒産も増えるように思います。

 倒産してしまうと、取り返しがつかないので、経済や金融の状況が元に戻る力も失われてしまうでしょう。

 

このような形で、今回は、5つの選択肢を提示させて頂きましたが、皆様方が、これを元に自分なりの対応方法を考えて、コロナショックの中でも、よりよいキャリアを選択できることを願っております!