(研究者の研究力を調べる方法)
理系の場合は、指導教員の研究力があるかないかを調べる方法を理解する必要がありますが、研究の論文(質は、同じ専門分野の研究者しか分からないので、最低限、数を調べます。)と、外部から獲得した研究費の支給先や数、金額を調べる必要があります。
(1)研究論文について
研究論文については、理系領域の場合は、一流の研究者は、必ず海外の学会で認められて英語論文の発表を世界に向けて行っています。
論文を発表するためには、研究を進めて論文を執筆し、学会の方に提出し、同じような領域の研究者が査読(中身の確認:新規性、有効性、信頼性の確認)し、確かに世界に同じものがない新しい内容で、効果があり、中身の信頼性があるという評価を得て、初めて発表することができます。
発表方法は2通りあり、ジャーナル(査読あり)と呼ばれる学会誌での発表が、研究の最終成果となり、学会のお墨付きの研究と評価されたことになりますので、これが最重要です。(査読というのは、研究論文を読んで評価することです。)次に、国際会議(査読あり)の発表で、これも同じように、論文を国際会議の主催者側に提出し、上記のような査読を受けます。評価のされ方は、近い将来、ジャーナルに掲載されることが期待されるかどうかという基準で判定されて、論文の中身の評価は、ジャーナルと同じ基準でされます。世界最高レベルの学会は、情報の領域でいうと、IEEEやACMという学会になりますので、そこでの発表が毎年コンスタントに沢山されていると、研究能力が高いです。私の場合は、現時点の発表済研究論文数は、100本程になっています。理系の場合は、研究論文を発表して、ようやく研究を実施したことになるという評価のされ方になりますので、研究者の皆さんは、必死に研究論文を発表することになります。
発表済の論文の情報は、大学のホームページや下記のサイトで公表されていることが多いので、確認するとよいと思います。このような研究実績は、ごまかすことが出来ないのものなので、研究力を確認する上では、信頼性が高い情報となります。
私の研究業績は、この数年間は、あまりに忙しくて研究業績の情報を最新化しておりませんが、過去と同程度の業績を継続して積み上げています。過去の情報は、以下のサイトで確認して頂けるとよいと思います。
https://researchmap.jp/read0139848
このように、研究能力を確認した上で、指導教員の考え方や人柄、マネジメント能力を確認し、総合的な評価をして指導教員を選ぶとよいと思います。
あと、これは見抜くのは難しいですが、研究を自分で最初から立ち上げた人を選ぶ方が良いと個人的には考えています。私自身は、システムエンジニアとして働きながら、夜間や土日を使って、一から自分で研究を立ち上げましたが、これは、ある意味、起業するのと同じような感じで、本当に出来るかどうかも分からない(何の保証もない)状態の中で、自分なりの仮説を立てて、それを実証(アクション)するということを行いました。その経験の中でいえるのは、自分一人で立ちあげるのは、とても難易度が高く、それに向かって必死に活動することで、あらゆる能力が飛躍的に向上したと感じるということです。それを常にやっている研究者の場合は、ビジョンを描く能力が非常に高く、企画力に優れているので、沢山のアイデアがどんどん出てきます。話を聞いていると、他では聞いたことがない話が沢山出てきます。
その他、日本の学会の場合は、独自性よりも、過去の他の研究者の研究成果に新しい要素を少し付け加えるような研究が評価されやすいです。類似の研究がない独自の面白い研究は、海外の学会の方が評価してくれるという当時の私の指導教員の指導の下、私は最初から海外の学会で発表を行ってきました。当時は、日本語の論文を書いたこともない状態で、更に、英語での執筆といいうことで、非常に大変な状況でしたが、今までに全くやったことがない領域のことでしたので、非常に楽しかった思い出があります。海外旅行に行ったことのがないのに、自分で飛行機やホテルの予約をし、現地ではタクシーに乗って会場まで移動し、シリコンバレーやハワイでIEEE主催の国際会議で発表をしましたが、正直、もう日本に帰ってこれないかもしれないと思って、日本を出発し、何とか無事帰ってくることが出来ました。当時は、怖かったですが、今となっては、よい思い出でとなっており、良い経験でした。自分で研究を立ち上げる過程で、ありとあらゆる能力開発がされることになりますので、本当の意味での研究力がある人は、基礎的な能力が非常に高い傾向があります。
一方、力のある研究者が作った研究グループにメンバーとして参加し、その研究者から研究テーマや研究費を貰ったりして、研究内容に関する様々な支援も受けながらずっとやってきている研究者は、非常に多いです。手足として働く能力はあるものの、研究のビジョンや企画を自分で創っていく能力が不足する傾向があるので、発想力に乏しく、アイデアを出す力も不足するので、指導能力が不足する傾向があります。また、自分で一から立ち上げるバイタリティも不足する傾向があると感じます。
力のある研究者とそうではない研究者の違いは、ビジョン構築力や企画能力の差であるので、そのあたりの話を注意深く聞いて見ると明確に分かりると思います。
私の研究は、サイバーフィジカル型インターネット管理システムの研究です。IoT×ビックデータ×AIの形のインターネット制御の方法を考えて、ソフトウェアを開発する研究です。自分で最初から立ち上げた研究です。それと共に、システムエンジニアとしての企業に納入する情報システム開発経験がありますので、情報の領域であれば、広範囲に指導することが可能です。それに加えて、民間で働いた経験もありますので、研究力だけではなく、社会実践力もあります。更に、大学で働きながら事業構想大学院大学に入学し、新規事業を起こすためのトレーニングも受けておりますので、現在は、次のステージに行けるように、これまでの分野とは異なる新しい研究も並行して進めております。
(2)外部の研究費について
研究費を獲得するには、研究のビジョン構築力や企画力が必要になり、その研究を進めることが出来る能力を持っている必要があります。ビジョン構築力や企画力は、研究費の申請書(応募書類)によって、中身が評価されます。また、研究を進めることが出来る能力を持っているかどうかは、過去の実績で評価されます。過去の実績とは、学会で発表した研究論文の中身と数、過去に取得した研究費のテーマや金額、数などです。この2つが揃った上で、研究費の応募者の中から相対評価で、5~15%くらいの評価に入る必要がありますので、かなりシビアな競争を勝ち抜かなければなりません。特に、理系は、文系とは違って、研究費がないと研究自体が進めれないことが多い為、応募者の皆さんにとっては、死活問題となり、激烈な競争になります。文系の方は、お金がかかる研究が多くないので、応募者が少なくなる傾向があり、また、本気で取りに来ている人も理系程ではないので、理系と比べると、実質的には大分緩い競争となります。
研究費の種類としては、まず、国から支給される科研費と呼ばれる研究費(科学研究費)が非常に難易度が高いです。これが取れたら、国からお墨付きが得られた研究という評価になります。この科研費の中にも種別があって、若手向けの研究費(若手研究)と一般の研究費(基盤研究)があります。若手研究費は、応募に年齢制限があり、これから実績を積み上げる若手研究者向けの支援的な研究費です。次に述べる基盤研究よりは、大分取りやすいです。基盤研究費は、年齢等の何の制限もなく、一人前の研究者が一斉に応募する研究費で、これが取れたら、一応、国からのお墨付きを得られた研究を行っていると言えると思います。
そして、研究代表者として、自分で研究企画をして申請し・取得することが重要です。共同研究者として名前を連ねている場合は、研究代表者のサポート的な位置づけなので、評価としては、あまり重要ではありません。私の科研費取得実績は、以下のサイトをご覧ください。(以下ページの 1. 3. 4 が、私が研究代表者として取得したものです。1つが3年なので、9年の期間になります。)
また、科研費以外にも、民間の財団からも様々な研究費が支給されております。こちらは、必ずしも、評価としては科研費と比べると劣るという訳ではないです。科研費との支給金額と同じくらいの金額の規模の大きな研究費は、採択率も非常に低くなり、獲得競争は熾烈なものになります。
私の民間財団の獲得研究費の実績は、以下のページの「共同研究・競争的資金等の研究課題」の欄の上から1番目、3番目、5番目、7番目です。金額も科研費と同規模の金額で、採択率も、一桁%未満となっており、競争が非常に激しいものになります。
https://researchmap.jp/read0139848
私は、民間で一般社会人の立場で働いておりましたので、大学の研究者としてのスタートが同年代の人と比べると10年くらい遅かったですが、大学教員になってから数年後に最初の研究費を獲得し、それ以降、ほぼ途切れることがなく、上記の研究費を獲得してきました。総額でいうと1700万円程になり、研究室には、サーバと呼ばれる専用の高性能コンピューターが10台近くあります。研究費獲得のために申請書を書くのは、非常に多くの時間とエネルギーを必要としますが、それ自体が、研究のビジョン構築力や企画力の開発になっております。研究費の獲得も、自分で最初から自分の力で立ち上げた研究で獲得したものが、その人の研究力の証明になります。
以上のように、研究論文や獲得した研究費の実績を参考にしていくと、その研究者の研究能力がある程度客観的に見えてくると思います。(研究の世界は、口でごまかすことはできません。)
私の椙山女学園でのこれまでの教育は、私自身の研究とは全く違う、民間での経験も元にした社会実践力の養成に主眼を置いておりましたので、学生の皆さんは、私の研究に関する情報に触れたことがないと思います。学生の皆さんは、後者の私にしか触れていないと思います。私は、研究実績も継続してあげながら、実務家教員のような形で社会実践力の養成も行っているという、非常に珍しいタイプの大学教員です。これが私の強みの源泉です。これに加えて、今は、新規事業を創出することが出来る基礎能力を身に着けたので、おそらく、比較対象がいない、日本では一人しかいない教員になったと思っています。将来的には、情報領域での研究開発型の新規事業を創出できる人財育成をしていくことが目標ではありますが、果てしなく遠い目標です!(笑)