大学教員が書いた就活・転職活動のお守り

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多様性のある人材育成は教育ではなく環境の提供が重要

教育の重要性は積極的に失敗させること

 

教育の重要性は、「失敗する」ことにあります。もっというと、失敗となるように、自分の限界を少し超えてみるということを行っていくことにあります。日本の場合には、一括採用の方針をとっている会社では、最初の2~3年くらいは、失敗しても勉強期間なのでおとがめなしとなる場合も多く、そういう期間は、失敗しても何となっていくのですが、そうでない会社、あるいは、その期間を超えた場合には、一人前の社会人として成果が求められることになります。

 

「失敗」という言葉にひびきはマイナスのイメージを連想させますが、逆にいえば、積極的なチャレンジの成果なので、チャレンジの証とも言えます。また、「失敗してよい」という方針で指導すれば、指導される側安心感を持つので、リラックスして取り組めます。会社の中でそれを実現するのは、なかなか難しいですが、教育の場面では、評価項目の中に「積極的なチャレンジによる失敗と、そこから学んだことがどれだけあるか」という項目を付加することで、簡単に可能になります。もちろん、単なる怠慢による失敗はダメですが、例えば、興味を持って試行錯誤を繰り返して成果が出なった場合でも、そのプロセスの内容を評価することで、チャレンジすることが可能になってきます。

 

今の学生の皆さんは、非常に素直な人が多いので、その点を丁寧に説明しておけば、言われた通り、積極的に失敗するようにチャレンジする人が多いと思います。失敗の中から何かを掴む経験をしていくことで、自立・自律性を喚起することができると思います。

 

会社の上司が部下の指導をする場合、実は、教育者の側面があるので、会社の管理職研修の前に、例えば、大学で教育を経験するということが出来れば、権威のないマネジメントを学ぶ機会になりますので、多大な効果があると思います。

 

短期的な失敗繰り返しが長期的な成功の投資となる

 

そのため、この点が企業と大学の教育の共創のポイントとなります。アメリカのようなスタイルで、新卒一括採用ではない国とは違い、日本の場合は、協調がまず先にあり、それが、国際的には信頼の要素にもなっているようなので、そこは崩さないで、大学のステージになるタイミングで、自立・自律性の養成のウエイトを引き上げることをやってもよいのではないかと考えています。意図をはっきりと説明し、段階的に自立・自律性を高めていけば、学部の4年間、あるいは、修士課程を含めると6年間あれば、大きくかえることは出来ると思います。(博士課程は、究極的な自立・自律性が要求されるので、一定の社会経験後、博士課程で研究するのも非常によいトレーニングとなります。また、博士課程で、起業などを評価対象とし、それを支援する仕組みを導入することが出来れば、真面目な国民性を活かした世界に類をみない起業立国を作ることも出来るかもしれません。

 

つまり、環境を作ることが出来れば、教育と社会を連動させ、大きな社会変革を実現させる可能性もあるのです。