大学教員が書いた就活・転職活動のお守り

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中小企業のDXについて考える

人のDX化から始めるとよい

 

コロナ禍になって、企業のDX化が急加速して、どの企業もDX化することに意識が向き始めている。しかしながら、データサイエンスやAIを活用したDX化は、一足飛びに行えるものではありません。通常の伝統的な情報システムを整備した上で、そこで蓄積したデータをもとに先端的なDX化をする形になるで、通常の情報システムの整備が不十分な場合は、そこをきちんとした形で行うことが先決です。

 

このようにすると、がっかりする企業もあるかもしれませんが、DX化は目的ではないので、まずは、基本となる情報システムの整備をきちんとした形で行うだけでも、大きな効果を見込める場合もあると思います。

 

その前提となるのは人のDX化で、経営者だけではなく、実際に情報システムを使う立場の人が、「情報化のもたらすメリット」と「今後10~15年以内に激変する世の中の構造変化」をきちんと認識して頂く必要があります。

 

ここを上手く出来ない場合は、情報システム化の際の仕様を決める段階で、現場からの情報収集が上手く行えずに、現場の実態が見えづらい情報システム部門の判断だけによる仕様策定となってしまい、大きな効果を見込めなくなる場合が多々発生します。

 

そのような状態で先端的なDX化を行っても、大きな効果を得ることは難しいです。

 

地道ではありますが、1~2年くらいかけてでも、土壌整備をする方がよいと思います。

 

並行してデータサイエンティストの養成を行うべし

 

中小企業でも、ある程度の規模であり、業績好調で余裕がある企業の場合は、出来れば内部である程度のレベルのデータサイエンティスト・AIエンジニアを養成した方がよいでしょう。

 

その理由は、この領域は、既存の情報システムの領域よりも、更にブラックボックスとなる要素が強いため、外部の専門のデータサイエンティストやAIエンジニアと話をするのも、非常に大変なことですし、内容が分からなければ、委託する開発・保守の費用が適切かどうかを判断することもままならないからです。

 

また、情報システムの開発をする際には、開発ベンダーの側からすると、相手方の担当者のレベルによって、プロジェクトの戻り作業などの可能性を加味した、余裕のある金額を提示することになるので、金額が跳ね上がることになりかねません。

 

データサイエンスやAIの場合は、効果が出ない可能性もあるので、その点の理解をして貰える担当者の存在は非常に心強いので、外部の開発ベンダーを効果的に使うことが出来るようになります。

 

また、このデータサイエンティスト・AIエンジニアの養成と共に、現場の業務担当者の中にも、Excelで構わないので、簡単なデータ分析を行える人材を整備しておくことで、他の現場社員に対するサポートや教育的立場の仕事をする人を配置することで、全社的なデータ活用の水準を上げることも出来ると思います。

 

伝統的な情報システムであれ、データサイエンスやAIを活用する先端的な情報システムであれ、一部のエンジニアが情報システムを導入するだけでは、その活用が進まないので、人のDX化も忘れてはなりません。

 

もちろん、現場の業務負担を上げないように、長期的に計画的に進める必要がありますが、急激な効果が見込めないこの部分の重要性を理解して、長期的に推進することができるかどうかが、最終的なDX化の効果を決めるのではないかと、個人的には思っています。

 

もちろん、最終的には、そこで働く社員や家族の皆様の幸せのためであることが目的ではあります。