学生の頃は自分主体であるが社会人として働く場面では真逆の立場になる
学生から社会人に変わる時、一番の大きな価値観の変化は、自分の中心の発想から相手主体の発想に切り替えなければならないということです。これは、社会人として働く場面で、必ず強く意識しておかないといけないことです。
その理由としては、仕事は、その成果を受け取るお客様や取引先の会社が期待する内容の商品やサービスを提供することが目的だからです。自分がどのように思うかは、基本的には考える必要がありません。もっとも、自分の考えることを説明して、相手がそれを気に入ってくれるという状況になれば、それは、また別の話なので、それもいいと思います。
しかし、あくまで相手の期待を満足させることが仕事の本質的な目的であるということは、明確に理解しておく必要があります。
これは非常に重要な観点で、はじめは、そのような考え方で仕事をしていくことは非常に負荷が高くなりますので、大変なことです。何故なら、相手の要望を満たすことができる実力が基本的には備わっていないため、そのギャップを色々な方法で埋めながらの仕事になるので、負荷が高くなるためです。
学生の頃の自分主体の考え方は、自分で出来る範囲でやるという思考になりがちなので、自分の能力を超える場合は、しなくてもよいという選択肢があります。しかしながら、社会人で働く場面では、それは通用しません。一度受けた仕事が、どのような状況であっても完結させなければなりません。そのギャップを埋めながら仕事をする期間が、いわゆる下積み期間ですので、この期間は、仕事中心で仕事に邁進することが必要になる期間です。
下積み期間を終えるとはどのような意味なのか?
このような下積みの期間は、どの程度続くのかというと人によって変わってきますが、少なくとも5~10年くらいはかかると思っておいて間違いはないでしょう。場合によっては、それ以上の期間でも、全く不思議ではありません。
何故、そのような長期間、下積み期間となるのかという理由ですが、それは、学生のこととは違い、同年代の人以外のはるか先をいく先輩の人たちと同じ土俵での競争となるからです。はるか先を走っているハイレベルの人達と競争できるように実力をつけるためには、5~10年でも少ないかもしれませんね。学生時代の横並びの意識から脱却し、一人前になっていく必要があるということです。
私自身も、学生から社会人になった時に、この変化を明確に意識していたかというと、正直な所は、あまり意識していませんでした。
下積みは仕事を黙々とするだけではなくチャレンジを繰り返していく時期
下積みというと他の人から振られた仕事を黙々とするだけでではありません。もちろん、キャリアの浅い段階では、そのような仕事が中心となりますが、それは、上の人達が付加価値の高い仕事をして会社の業績を向上させる、つまり、売り上げを上げることに貢献するので、それ以外の付加価値は小さいけれども、だれかがやらなければならない仕事をキャリアの浅い人が担当するという形になり会社全体として仕事を完結させるということです。
このような構図の中で、キャリアが浅い人は、沢山の仕事をこなしながら、仕事の遂行力をつけていきます。アスリートでいう「基礎体力トレーニング」にあたります。これはこれで非常に重要です。雑用と言われる仕事も含まれますが、これらを沢山こなすことで、圧倒的な蓄積がなされていきます。
しかしながら、それだけでは、いつまでたってもそこから脱却することはできません。自分で仕事を考えて、それを実行し、会社に貢献することを自分発で行えるようにならなければ、道は開かれていきません。
そのようなチャレンジは、当然ながら最初から上手くいくことはなかなかありませんので、何度もチャレンジして、大きく発展させることが出来る仕事を作っていく必要があります。
仕事の基礎体力トレーニングを積みながら、本番としての自分の仕事にチャレンジをしていくという意識で、試行錯誤していく必要があります。
その結果、自分の仕事として大きく発展させることが出来るようなものが見つかれば、それがいわゆる天職である可能性もありますので、そこに時間と労力を集中させて発展させていけばよいのではないかと思います。ナンバーワンを目指すチャレンジから、オンリーワンを目指すチャレンジをする方向にシフトしていくことになると思います。その究極として、独立のようなことがあるのではないかと思います。
今の時代は、複数の仕事を持っておくことも重要なリスクヘッジですので、独立せずともその道があれば、それに越したことはありませんね。