アスリートは引退後の方が厳しいことが多い
毎年の年末に、「プロ野球戦力外通告 首を宣告された男達」というテレビ番組がやっているのをご存じでしょうか。
基本的に1年毎に契約が更新されるかどうかが決まるプロの選手は、非常に厳しい面が存在します。そのリアルな状況をTV番組として、お茶の間に届ける趣旨の番組です。
下記の記事で、日本のプロ野球を離れて違う職種に転向した人の体験談が載っており、むしろ、現役生活の時よりも、プロ選手の生活を終えた後の方が何倍も厳しい状況になると、この記事の選手が語っています。 headlines.yahoo.co.jp
プロ野球選手に限らず、実業団の選手なども、基本的には同じようなものだそうです。入社後に選手を引退した年齢が若い場合は、そのまま会社に残って仕事をしていく選択肢がある場合もあるようですが、活躍して引退時の年齢が30歳を越えるような場合には、客観的に考えてその選択肢も大分少なくなるでしょう。
このような状況になってしまう根本的な原因として、私個人の意見ではありますが、「一つの事だけをコツコツと頑張ることを美徳とする価値観」が、問題の本質にあるのではないかと思います。
スポーツの世界は、伝統的に、スポーツの競技種目を1つにしないといけないという見えない圧力があり、海外のように2つ以上の競技種目、例えば、バスケットボールと陸上競技というような形で、並行的に行うことは、あまり良いこととされない風潮が、残念ながら、いまだにあります。
また、同じように、1つの競技種目の中で複数の役割を兼ねる場合も、色々と言われてしまいます。メジャーリークの大谷選手などは、その典型的な例です。
また、本格的にスポーツをやりながら、一般の人と全く同じように仕事をするということに対しても、実際に行う場合は、非常に大変です。仕事でミスした場合に、仕事以外に頑張っていることがあると、そのせいにされてしまうこともあるようです。
本来ですと、複数のことを行っている場合でも、1つの事だけを行っている場合でも、評価に差があるはずはないのですが、日本の場合、そのようなことがよく起こります。
これらのようなことが起こる根本的な一つの大きな原因として、「一つの事だけをコツコツと頑張ることを美徳とする価値観」が、日本では広く浸透しているということがあると思います。
その為、スポーツで生計を立てるプロ選手や実業団の選手が、現役選手の間に、例えば、将来のために資格取得の勉強を行っていたりすると、そんなことをする暇があれば、練習するべきと言われてしまうようなこともあるようです。
元サッカー選手の中田英寿氏は、選手時代に税理士資格の勉強をしていたそうですが、そういったことをする人は、あまり多くありません。
選手時代は、それだけに集中すべきという無言の圧力があるためです。
スポーツとその他の活動は、両立できないのか?
もちろん、そんなことはありません。私個人の例で恐縮ですが、陸上競技の選手時代だった頃には、毎日の練習は、練習内容にもよりますが、多くて2~3時間ぐらいが限度です。それ以上だと、疲労が蓄積しすぎて、継続的なトレーニング効果が望めないからです。ウォーミングアップの工夫をすれば、90分でも十分なトレーニングができます。
集団競技の場合でも、個人の能力を高める練習とチーププレーの練習を行っても、3時間くらいあれば、かなりの練習が出来るのではないかと思います。
何が言いたいかというと、長期的な観点で考える場合、それ以上のトレーニングは、到底継続できないのです。
したがって、スポーツのトレーニング時間以外にも、その他の活動を行える時間は十分にあるはずです。
両立のために出来る具体的な行動の例
先程のように、資格の勉強をしたりすることも良いと思いますが、例えば、普段のトレーニング内容や食事の工夫点などをまとめて、ブログのようなメディアを使った発信を継続して行っていき、将来的な書籍の執筆や何かしらの個人事業の展開に結び付けたりする可能性を模索するのは、如何でしょうか?
前述したように、選手時代に活躍して引退年齢が高くなる場合は、その先のキャリアの選択肢が少なくなるので、自分のブランド価値を選手時代から高めておく努力をしておき、引退後に、何かしらの事業に結び付けていくことを考えたりすることも出来ると思います。
引退時の年齢が高くなる場合は、活躍しているケースが多いので、知名度も高い場合が多いと思いますので、それを活かしたキャリア戦略を考えるのです。
オリンピック・400mH銅メダリストの為末大氏は、現役中にプロ選手として活躍した数少ない方ですが、現役中から自分をブランド化する活動をされているような印象を受けました。下記のようなホームページを開設して、著書も多数出版されております。
もちろん、言うだけなら簡単だと思いますが、何事も良い点とそうでない点がコインの表と裏の様に混在していますので、良い点を見て、それを活用していくことが基本戦略だと思います。